士業のインスタ集客|相談が来るアカウントの違い

土曜の午前、誰もいない事務所で投稿を1本上げる。今日も法改正のお知らせです。半年で60本。いいねは10前後。相談は、まだ1件も来ていない。
士業の発信が止まるのは、書くことが無いからではありません。書けることが、出せないからです。いちばん語れるのは受けたご相談の中身で、そこはそのまま出せない。残るのは法改正と一般論で、それはどの事務所が書いても同じになります。
この記事では、集客の手段を並べません。守秘に触れずに何を出すか、その1点に絞ります。
SNS集客の全体の流れは、次の記事にまとめています。
相談が来ないアカウントに共通する3つ


士業のアカウントをいくつも見ていると、止まり方が似ています。3つ挙げます。
1. 出しているのが「お知らせ」になっている
法改正、申請期限、助成金の公募。どれも正確で、役に立ちます。ただ、同じ内容は官公庁の案内にも、ほかの事務所の投稿にも出ています。読んだ人に残るのは情報であって、書いた人ではありません。
お知らせを読んだ人が次にすることは、期限をカレンダーに入れることです。相談しようとは思いません。それで正しいので、投稿が悪いわけでもありません。ただ、相談につなげたいなら、出すものが違います。
2. 「誰の、いつの困りごとか」が毎回変わる
今日は起業したばかりの人へ、明日は従業員を雇う会社へ、明後日は退職金の話。どれも仕事の範囲内ですが、読む側は自分のことだと気づけません。
1年続けても、フォローしている人の頭の中に「この人は◯◯のときに聞く人」という置き場所ができません。置き場所ができていないと、いざ困ったときに思い出してもらえません。この絞り方はインスタのコンセプト例に、社会保険労務士の例を含めて書きました。
3. 相談していい、という合図が無い
役に立つ投稿だけが並んでいると、読む人は「勉強になるアカウント」として扱います。お金を払って相談する先だとは思っていません。ここは士業に限らず起きますが、士業はとくに「敷居が高そう」という前提から始まるので、はっきり出さないと届きません。
3つとも、投稿の本数や質の問題ではありません。出しているものの種類の問題です。


守秘に触れずに出せるもの


ここが本題です。相談の中身は出せません。けれど、出せるものはあります。判断そのものです。
お受けしなかったご相談と、その理由
「このご相談は、いったん様子を見ましょうとお伝えしました。理由は3つあります」。誰の話かは出ていません。出ているのは、あなたが何を見て、どう考えたかだけです。
読む側は、この3行でだいたい分かります。この人は受注のために何でも引き受ける人ではない。自分の場合も、同じように見てくれるだろう。お断りした話は、いちばん信用のつくりやすい材料です。
よく聞かれるのに、答えが1つに決まらない質問
「就業規則、いま作るべきですか」。答えは会社によって変わります。だからこそ、何を見て分かれるのかを書けます。人数、業種、これから増やす予定、いま起きているトラブルの有無。
結論を出さずに、分かれ目だけを出す。読んだ人は自分がどちらか分かりませんが、「この人に聞けば分かる」ということは分かります。それで十分です。
仕事の進め方と、ふだんの様子
初回の面談で何を聞くか。書類をいつまでに揃えてもらうか。連絡はどの手段か。依頼する前にいちばん不安なのは、頼んだあと何が起きるか分からないことです。
顔写真、事務所の場所、対応できる地域。ここまで出ていると、問い合わせの前の心理的な距離がかなり縮みます。
3つとも、在庫が尽きません。事例は許可が要りますが、判断は毎日発生します。


半年で相談が来る形に変えるなら、この順番


いまのアカウントを作り直す必要はありません。順番だけ決めてください。
- 誰の、いつの困りごとに答えるかを一文で決める
「はじめて人を雇う従業員5名以下の会社の、最初の一歩」のように、段階まで入れます。 - プロフィールの1行目を、その一文に書き替える
肩書きだけだと、読んだ人は自分に関係があるか判断できません。 - 出すものを「判断」に寄せる
お断りした理由、分かれ目、進め方。お知らせは月に1〜2本までに減らします。 - 相談していい合図を、プロフィールと投稿の最後に置く
「初回は30分お話を伺うだけでも構いません」の一行で足ります。
この4つのうち、いちばん効くのは3つめです。ただ、1つめが決まっていないと3つめが書けません。順番は入れ替えないでください。
数字は、2つだけ見る
投稿を変えたあと、見るのはプロフィールへのアクセス数と、そこからリンクを押した数の2つです。いいねとフォロワー数は、いったん置いておきます。
どこで止まっているかを1か所に決めるやり方は、インスタで集客できないに書きました。士業でも見る場所は同じです。


それでも、向き不向きはあります


発信で相談が増える事務所と、増えない事務所があります。分かれるのは腕ではなく、扱う仕事の性質です。
相談する前に自分で調べる人が多い分野は、発信が効きます。反対に、困ってから急いで探す分野は、検索や紹介のほうが早い。半年やって手応えが無いなら、発信を増やすより先に、そこを確かめたほうがいいかもしれません。
なお、外に頼む選択をするときは、相手選びで一度つまずきます。見分け方はSNSコンサルが怪しいと言われる理由にまとめました。
当社はSNS運用顧問という形で、投稿は先生ご自身に書いていただき、「今月は誰に何を出すか」の判断に毎月つきあう組み方をしています。守秘のある仕事では、中身を知らない人が代わりに書くほうが難しいためです。
発信は、紹介を置き換えるものではありません。紹介で来た方が、頼む前に見る場所として効きます。
よく聞かれる3つのこと
実名と顔を出さないと、相談は来ませんか
屋号と地域だけでも相談は来ます。ただ、士業は資格が前提の仕事なので、氏名と登録番号が見えるかどうかは、ほかの業種より効きます。顔写真が難しければ、事務所の外観や机まわりでも距離は縮まります。
同業の先生に見られるのが気になります
見られます。そのうえで、同業から仕事が回ってくることも起きます。分野を絞って出していると、「うちは扱っていないので」と紹介が来る形です。見られて困るのは、断定してしまったときだけなので、分かれ目を出す書き方にしておけば、そこも避けられます。
週に何本くらい出せばいいですか
本数より、3か月続く量で決めてください。週2本を3か月のほうが、毎日を3週間でやめるより残ります。止まる原因は書くことが無いことではなく、毎回その場で何を出すか決めていることです。手前で決めておく方法はインスタのネタ切れが起きる本当の理由に書きました。
自宅でサロンを営む方向けには、次の記事にまとめています。
まとめ
士業のインスタが止まるのは、書くことが無いからではなく、いちばん書けることが出せないからです。お知らせと一般論しか残らないので、どの事務所とも同じに見えます。
出せるのは判断です。お断りした理由、答えが分かれる分かれ目、頼んだあとの進め方。この3つは守秘に触れず、しかも在庫が尽きません。誰の、いつの困りごとに答えるかを一文で決めて、そこから出すものを選んでください。
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