経営者に相談相手がいないのは普通です|一人で整理する4手順

経営者に相談相手がいないのは普通です|一人で整理する4手順

日曜の夜、来週の予定を確かめたついでにノートを開き、気になっていることを書き出してみる。けれど閉じるころには朝と同じ結論に戻っていて、誰かに聞いてみたいと思っても、思い浮かぶ顔がない。

従業員には言えません。経営者が数字の不安を漏らせば、それはそのまま社内に伝わるからです。家族には心配をかけたくないし、同業の集まりでは話せるところまでで止めてしまう。相談相手が見つからないのは、経営者という立場に置かれた人ならたいてい行き当たることです。

「相談相手の選び方」を調べる前に、相談したい中身がまだ形になっていないことのほうが多いので、この記事ではその形をつくるところまでを書きます。

目次

相談したい中身が、まだひとかたまりのままになっている

いくつもの心配がひとかたまりになって、ほどけていない

相談相手を探してもなかなか決まらないときは、相手を変えるより先に、渡すものを整えておくと話が進みます。

「なんとなく不安」は、人に渡せない

頭の中では、採用をどうするか、来期の売上、設備の入れ替え、自分の働き方といった悩みが混ざり合っていて、全体で「このままでいいのか」という1つの塊になっています。

塊のまま人に渡すと、「まあ、大丈夫じゃないですか」「そういう時期ですよ」と、返ってくる答えも塊になります。相手に悪気はなく、渡されたものの形がそのまま返ってきているだけです。

だから、相手を増やしても決まらない

顧問税理士、商工会議所、同業の先輩と相談する人数を増やしても、渡すものが同じなら返ってくるものも変わりません。反対に、先に中身を分けてから持っていけば、同じ相手からでも違う答えが返ってきます。

相手選びの前に、紙1枚でできることがあります。それをやっておくと、そもそも相談したほうがいいのかどうかも見えてきます。

かたまりのまま渡した場合と、分けてから渡した場合の違い
図1:人数を増やしても、渡すものが同じなら返りも同じ

一人で整理する、4つの手順

かたまりを紙に書き出して、ひとつずつに分ける

用意するのは紙とペンだけで、次の順番どおりに進めてください。

  1. 頭にあることを、20分かけて全部書き出します。きれいに書こうとせず、単語で構いません。書き切ると、だいたい15〜25個になります。
  2. 書き出したそれぞれに、自分でコントロールできるものは〇、相手や外の事情で決まるものは×を付けます。×が半分を超えるのも普通のことです。
  3. 〇が付いたものだけを、期限の近い順に並べ替えます。重要度ではなく期限で並べるのは、重要度が決められないからこそ悩んでいるためです。
  4. いちばん上の1つに、次にやる具体的な動作を1行で書きます。「考える」「検討する」では手が動かないので、「〇〇さんに電話して日程を聞く」くらいまで下ろします。

並べ替えたあと、数分から15分ほどで終わるものがあれば、私は先に片づけてしまいます。終わっていないことが頭に残っていると、そこに頭を占領されて、ほかのことを考える余裕がなくなるからです。

ここまでで、手をつける1つとその次の動作が決まります。残りはそのまま残りますが、いまは持たなくていいものとして脇に置いておけます。

×が付いたものは、捨てずに別の紙へ

自分でコントロールできないものが同じ紙に残っていると、手が動かないまま目に入り続けます。別の紙に移して、上に「動きがあったら見る」と書いておいてください。この×の紙が、人に相談するときに持っていくものになります。自分ではコントロールできないものだけが並んでいると、相手も何を聞かれているのかがすぐに分かり、話が具体的になります。

たとえば「採用をどうするか」を分けると、「いま出せる給与の上限」「募集を出す媒体」「面接に使える時間」「その人に任せたい仕事の範囲」の4つに割れます。上限と時間は自分でコントロールできるので〇、応募が来るかどうかは相手次第なので×で、こうして見ていくと、相談したいのは「任せたい仕事の範囲」の一点だけだったと分かることがよくあります。

それでも同じところを回るとき

4つの手順をやっても、翌週また同じ紙を書いていることがあります。それは、その手前にある前提がまだ決まっていないという合図です。事業をどこまで大きくしたいのか、自分はどのくらい働きたいのか。ここが決まっていないと個別の判断は何度でもひっくり返り、一人で考えているとこの層で同じところを回りがちです。

見分けるには、同じ紙を3回書いてみてください。3回とも同じ順番になるのに手がつかないなら、その下に「やりたくない」か「怖い」が隠れています。そこは紙に書いても出てきにくいので、口に出せる場を別に用意したほうが早く進みます。そうした場を使うときは、今日決めたいことを1行の問いにし、数字と期限と選択肢をメモ1枚にして持ち込み、最後の10分で次の一歩と期限を決めると、話した内容が翌日の動きにつながりやすくなります。50分の割り振りの一例と、持ち帰るものの書き方は経営者の壁打ちに書きました。

経営者が一人で頭を整理する4つの手順|書き出す・〇×・期限・次の動作
図2:残りは消えない。脇に置けるだけ

人に頼むと決めたときの、選び分け

自分でコントロールできるものと、できないものが分かれる

整理したうえで、やはり相手が要ると思ったら、何を求めているかによって向いている相手が変わり、大きく3つに分かれます。

  • 答えがほしいとき。税務、労務、法務のように正解のある領域なので、その分野の専門家に聞くのが早いです。
  • やり方を決めてほしいとき。進め方の設計を任せたいなら、その業界を知っているコンサルタントが向いています。
  • 自分の考えを言葉にしたいとき。答えは自分の中にあるのにまとまらない状態なので、問いを投げてもらう形が合います。

求めるものが混ざったまま頼むと、期待と中身がずれていきます。答えがほしいのに問いを返されれば物足りなく感じますし、考えを整理したいのに正解を渡されると、腑に落ちないまま進むことになります。

費用をかけずに聞ける、公的な相談窓口

×の紙を前にして、いきなりお金を払って相手を探すのは気が重いと思います。国や地域の団体が用意している窓口なら無料で話を聞いてもらえるので、紙に残ったものの種類で行き先を選んでください。

  • よろず支援拠点
    国が47都道府県に置いている経営相談所で、中小企業基盤整備機構が運営しています。売上の伸ばし方から商品づくり、後継ぎのことまで、分野を問わず何度でも無料で相談できます。予約制です。どこへ持っていけばいいか分からないものが並んでいるときの、最初の行き先になります。
  • 商工会議所・商工会
    商工会議所では、その地域で事業をしていれば会員でなくても、経営指導員に原則無料で相談できます。税金や法律の話は、必要に応じて税理士や弁護士などにつないでもらえます。地元の事情を分かっている人と話したいときに向いています。地域によっては商工会が窓口です。
  • 日本政策金融公庫の事業資金相談ダイヤル
    借入れや融資の制度について、無料の電話で相談できます。紙に「設備を入れ替える資金」のようなお金の話が残っているなら、使える制度を先に聞いておくと、次の判断が具体的になります。

どの窓口も、持っていく中身が分かれているほど話が早く進みます。上の4つの手順でつくった×の紙を、そのまま見せてください。

外に頼むときに、確かめておきたいこと

経営の相談は成果を外から確かめにくい買い物なので、そのぶん相手選びで迷いやすくなります。確かめ方の考え方はSNSコンサルが怪しいと言われる理由に書きました。分野は違いますが、見るところは同じです。

一人で決め続けてきた人ほど、決め方が知らないうちに固まっていきます。外から問いが入ると、その固まりが少しずつほどけていきます。

顧問税理士・同業・社員に話すときに迷うこと

今週手をつける1つが残り、残りを脇に置ける

顧問税理士に相談するのでは足りませんか

数字の判断なら、顧問税理士にそのまま伺うのがいちばん早いです。足りなくなるのは、事業をどこまで広げるか、誰を採るか、自分が何を手放すかのように、正解が1つに決まらない話のときで、こうした問いに答えを出すのは、もともと専門家の役割の外にあります。

同業の集まりでは、なぜ話しきれないのでしょうか

その場にいる全員が、どこかで競合や取引先になり得るからです。弱みを見せた記憶は相手にも残るので、話はどうしても話せるところまでで止まります。付き合い方よりも場の成り立ちから来ることなので、気心の知れた相手を増やしても解けにくいと思います。

社員に打ち明けてもよいものでしょうか

打ち明けること自体は悪くありません。ただ、迷っている最中の話を渡すと、社員は判断のしようがなく不安だけが残ってしまいます。上の4つの手順で次にやる動作まで下ろしてから、決まったこととして伝えたほうが、結果として早く進みます。

決まったことを人に伝えるときの資料の作り方は、文字が多いスライドを見やすくするにまとめています。

3つとも、渡す中身と渡す相手の組み合わせを合わせれば、話はちゃんと進むようになります。

経営者の相談先の選び分け|答えがほしい・やり方を決めてほしい・言葉にしたい
図3:混ざったまま頼むと、期待と中身がずれる

当社がやっていること

株式会社GORAQUEでは、経営者向けコーチングをご用意しています。対話を通して考えを言葉にし、次の一歩まで一緒に落とし込んでいく形です。

1回50分、月2回のペースで、事業のこととご自身の働き方の両方を扱います。上の4つの手順を、一人でやる代わりに二人でやるものだと思っていただければ近いです。体験セッションは5,000円(税込)でお受けしています。

合う合わないがはっきり出る種類のものなので、体験だけ受けて終わっていただいて構いません。

今週は、紙を1枚書くところから

経営者に相談相手が見つからないのはよくあることで、従業員にも家族にも同業にも言えない話が残るのは、立場の側の事情です。相手を探す前に、紙に全部書き出し、自分でコントロールできるかを分け、期限で並べ、次の動作を1行書く。この4つで今週手をつける1つが決まり、そのうえで残った「自分ではコントロールできないもの」を持っていけば、相談は短く具体的になります。

頭の中を、50分で整理してみませんか

何から話せばよいか決まっていない状態で構いません。お話を伺いながら、いま抱えているものを分けて、今週手をつける1つと、その次の動作まで一緒に決めます。無理な営業はいたしません。

1回50分・オンライン。体験は5,000円(税込)です。

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この記事を書いた人

山崎 嘉久のアバター 山崎 嘉久 株式会社GORAQUE 代表取締役

株式会社GORAQUE 代表取締役。SNS運用顧問・SNS運用代行、LINE公式アカウント・UTAGE構築、デザイン制作を通じて、個人事業主と小さな会社の集客を支援しています。商工会議所や自治体の協議会で、SNS運用とデザイン制作をテーマに登壇。大阪府枚方市を拠点に活動しています。

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