セミナーのスライド構成|持ち帰ってほしい1つから逆に並べる

来月、地域の商工会議所で60分の講座を頼まれた。夜、パソコンでスライドを開き、表紙にタイトルを打ち、2枚目と3枚目に自己紹介を書く。4枚目から本題に入ろうとして、手が止まる。話したいことは山ほどあるのに、どれから並べればいいのかが決まらない。思いついた順に足していくと、20枚を過ぎてもまだ半分も話していない気がしてくる。
先に答えを書くと、セミナーのスライドの構成は、1枚目から作らずに「聞き終えた人に持ち帰ってほしい1つ」を最初に決め、最後の1枚から逆に並べると、並べる順番を決めやすくなります。並びは、表紙と今日の約束、聞き手の場面、本題、手を動かす時間、まとめと次の一歩の5つの区切りで足ります。この記事では、持ち帰る1つの決め方、5つの区切りの並べ方と時間の割り振り、見出しだけで骨組みを作る手順、最後の1枚に置くものを順にまとめます。
書いているのは、商工会議所や自治体の講座でSNSやCanvaをテーマに登壇し、スライド資料の制作もお引き受けしている会社です。
スライドの手が止まったら、話す材料を増やす前に、どこへ向かう話なのかが決まっているかを見てみてください。向かう先を先に置くと、並べる順番は後からついてきます。
セミナーの構成は、持ち帰ってほしい1つから決める


1枚目から順に作っていくと、思いついたことを足すたびに枚数が増え、時間が足りなくなるのはたいてい最後の数枚です。いちばん伝えたかったはずのまとめを、早口で流して終わることになります。
そこで、スライドを開く前に、紙に一文だけ書きます。セミナーの帰り道、家族に「今日は何の話だった?」と聞かれた参加者に、どう答えてほしいか。その答えが、このセミナーで持ち帰ってほしい1つです。
持ち帰る1つは、明日やることの形で書く
「SNSの大切さ」「デザインの基本」のような言葉は、テーマの名前にとどまります。聞いた人の行動が変わる形に言い直すと、構成の芯になります。
- テーマの名前のまま
「インスタ集客のコツ」「伝わるチラシのデザイン」 - 明日やることの形
「プロフィールの1行目を、誰の何をする人かに書き直す」「チラシの見出しを、お客さまの困りごとの一文にする」
後ろの形にしておくと、スライドを1枚足すたびに「これは、明日のその一歩に要るか」で選べます。要らないものは、話したくても外すか、配る資料のほうへ回します。


並べ方に迷ったら、最後に参加者が何をしたくなっていればいいかに戻ってきてください。そこが決まっていれば、道のりを逆にたどって並べられます。
骨組みは5つの区切りで、後ろから並べる


持ち帰る1つが決まったら、スライド全体を5つの区切りに分けます。当日に見せる順番は上からですが、作る順番は5からです。
- 表紙と今日の約束
タイトルと名前のあとに、「今日の帰りには、〇〇ができる状態になっています」と持ち帰る1つを先に言います。自己紹介は、なぜ自分がこの話をするのかが分かる1枚にまとめます。すでに3枚書いていたら、その理由が伝わる1枚だけを残し、残りは配る資料へ回します。 - 聞き手の場面
参加者がいま困っている場面を、1〜2枚で描きます。「投稿はしているのに、問い合わせが来ない」のように、うなずける場面から入ると、本題を自分の話として聞いてもらえます。 - 本題(3つまで)
持ち帰る1つにたどり着くために要る話を、3つまでに絞ります。区切りごとに見出しのスライドを1枚はさむと、いまどこを話しているかが伝わります。 - 手を動かす時間
その場で1行書いてもらう、自分のスマホで見直してもらう、といった短い作業です。聞くだけで終わらせず、持ち帰る1つを会場で一度やってもらいます。 - まとめと次の一歩
持ち帰る1つをもう一度言い、帰ってから最初にやることを1つだけ示します。
作るときは、5のまとめを先に書き、次に4の作業、3の本題、2の場面、最後に1の表紙の順で埋めていきます。後ろが先に決まっているので、本題に何を入れるかで迷う時間が減ります。


時間は、話し終える時刻から割り振る
60分のセミナーなら、たとえば、表紙と約束で5分、場面で5分、本題で30分、手を動かす時間で10分、質問で5分、まとめと次の一歩で5分と割り振ります。数字は一例で、大事なのは、質問とまとめの時間を先に確保しておくことです。本題が延びても、削るのは本題の中の例や話の枝で、最後の10分には手をつけません。
枚数は、時間から先に決めないでおきます。1枚に何秒かけるかは、話す人と内容で大きく変わるからです。骨組みができたら一度通しで話して、区切りごとにかかった時間を測るほうが確かです。
本題に入りきらない話は、配る資料へ
3つに絞ると、話したかった補足や細かい数字がこぼれます。それは、当日に映すスライドから外し、あとで読み返してもらう配布資料に入れます。映すスライドは見出しと図だけにして、説明は口で話す。配る資料は、その場にいなくても分かるように文字で書く。この2つを分けると、1枚に詰め込まずに済みます。1枚ずつの直し方と、見出しを一文にする手順は、文字が多いスライドを見やすくするにまとめています。配布資料は、当日に書き込むA4の1枚と、終わってから開く詳しい資料の2つに分けておくと、配ったあとも先のページを読まれにくくなります。配るかどうかの決め方と、主催者に先に確かめることはセミナーの配布資料に書きました。
今夜は、見出しだけで骨組みを作る


スライドのデザインに手をつける前に、見出しだけの骨組みを作ります。今夜やるのは、次の3つです。
- 1枚1行で、見出しだけを書き出す
紙かメモに、5つの区切りごとに見出しを書きます。見出しは「SNSの現状」のような名詞で止めず、「見られているのに、押されていない」のように、その1枚で言いたいことを一文で書きます。 - 見出しだけを、声に出して上から読む
つながりがおかしいところ、急に話が飛ぶところは、読むと引っかかります。引っかかったところに1枚足すか、順番を入れ替えます。 - 図にする1枚に印を付ける
手順・比べる・中身の分解など、口で言うより図のほうが速いところに印を付けます。図を作るのは、骨組みが決まってからです。
3つ目の図は、話の形で型が決まります。「まず〜、次に〜」なら手順の図、「AとBでは〜」なら比べる図、「これは〜と〜でできている」なら分解の図、「〜のときは〜する」なら対応の図です。型を先に決めておくと、探すテンプレートの候補を絞れます。型の見分け方と、Canvaで1枚を仕上げる順番は、Canvaで図解を作る方法に書いています。


話す言葉は、スライドより手元のメモに書く
骨組みの見出しの下に、話す言葉を書き足したくなったら、スライドの本文には入れずに、ノート(メモ)の欄に書きます。PowerPointの発表者ツールは、Microsoftのプレゼンテーションを開始してノートを発表者ツールで見るという案内にあるとおり、手元のパソコンには発表者のノートを表示し、会場のスクリーンにはスライドだけを映せます。映す画面に原稿を載せずに済むので、スライドは見出しと図だけで保てます。
見出しだけの骨組みは、色や配置を考えなくていいぶん、短い時間で書けます。スライドの見た目は、順番が決まってから、残りの日数に合わせて整えていきます。今夜は、紙1枚に見出しが並べば十分です。見た目に入るときは、色を背景・文字・強調の3つに分け、強調の色をロゴか名刺から1つ取って1枚に1か所だけ使うと、全ページがそろいます。手順はスライドの配色は3色でにまとめました。
最後の1枚に、持ち帰る1つと次の一歩を置く


最後のスライドを「ご清聴ありがとうございました」の1枚で終えると、参加者は帰ってから何をすればいいかを、最後に確かめられないまま会場を出ることになります。最後の1枚には、次の3つを置きます。
- 持ち帰る1つ
表紙のあとで約束した内容を、「プロフィールの1行目を書き直す」のような帰ってからやる一文にして、もう一度書きます。最初と最後で同じ言葉が出ると、話が一本につながって聞こえます。 - 帰ってから最初にやること
「今夜、プロフィールの1行目だけ書き直してみてください」のように、時間と量が小さいものを1つ。 - あとで聞きたくなったときの入口
資料の受け取り方か連絡先のどちらか1つ。入口がいくつも並ぶと迷わせるので、まず使ってほしいものを1つに絞ります。
自分の仕事の案内をどこまで入れてよいかは、主催者によって違います。商工会議所や自治体の講座を頼まれたときは、最後の1枚に連絡先や案内を載せてよいかを、事前に担当の方へ確かめておくと安心です。反対に、講座を企画する担当の方は、受講者と持ち帰ってほしいこと、形式と時間を先に決めておくと、講師と同じ条件で話を進めやすくなります。担当者向けの決め方と講師に確かめる5つはSNS研修の講師の選び方に書きました。
質問の時間は、最後のまとめの前に置く
質問の時間をセミナーのいちばん最後に置くと、質問が出なかったときに、しんとしたまま終わることがあります。まとめのスライドの手前で質問を受け、そのあとに持ち帰る1つと次の一歩を見せて締めると、最後の言葉を自分で選べます。質問が出にくい会場では、「よく聞かれるのは〇〇です」と1つ紹介してから受けると、手を挙げるきっかけになります。
セミナーを頼まれると、あれもこれも盛り込みたくなるのは自然なことです。話しきれなかったことは、配る資料や次の講座に回せます。まずは1つを確かに届けることを、このセミナーの目標にしてみてください。
まとめ
- スライドを開く前に、帰り道に参加者が言える「持ち帰る1つ」を、明日やることの形で書く
- 骨組みは、表紙と約束・聞き手の場面・本題3つまで・手を動かす時間・まとめと次の一歩の5つ
- 作る順番は後ろから。まとめと質問の時間を先に確保し、本題に入りきらない話は配る資料へ
- 今夜は、1枚1行の見出しを書き出し、声に出して読み、図にする1枚に印を付ける
- 最後の1枚には、持ち帰る1つ・帰ってから最初にやること・入口を1つだけ置く
講演やセミナーのスライドは、スライド/デザイン制作でもお引き受けしています。仕上げのデザインだけでなく、話の順番から一緒に整理するところから始められます。
講座の骨組み、一緒に並べませんか
いまのスライドか、見出しを書き出したメモを見せていただければ、持ち帰ってほしい1つと、5つの区切りの並べ方を一緒に決めます。無料相談では、いまの状況を伺い、どこから作るのが早いかをお伝えします。無理な営業はいたしません。
50分・オンライン。費用はかかりません。





コメント