文字が多いスライドを見やすくする|1枚1メッセージへの直し方

来週が本番で、スライドは20枚できている。ただ、通しで見ると1枚が重く、言いたいことは全部入っているのに、自分で読み返しても頭に入ってこない。
文字を小さくしたり、行間を詰めたりすれば入ることは入りますが、それで見やすくなることはありません。文字が多いスライドで手を入れるところは、文字の大きさより手前の、1枚に何を載せるかのほうにあるからです。
直す順番は決まっていて、減らすのは最後です。その前に、話すか配るかを分けることと、見出しを文にすることの2つをやっておきます。
その1枚は、話すためか、配るためか


いちばん先に決めるのはここで、ほとんどの「文字が多いスライド」は、話すためのものと配るためのものが1枚に同居している状態です。
話すスライドは、読ませるとあなたが消える
スクリーンに文章が出ていると、聞き手はまずそれを読み、読んでいるあいだはあなたの声が入りません。読み終わるころには話が先へ進んでいて追いつけないので、聞き手の顔が上がらなくなります。
話すためのスライドに要るのは、いま何の話をしているかの見出しと、口で言うより速い図だけで、説明は口から出ます。その図をCanvaで作るなら、最初に覚える型は4つで足ります。Canvaで図解を作る方法にまとめました。
配る資料は、読ませるために文字が要る
反対に、あとで読み返す資料には文字が必要です。その場にあなたがいないので口で補えず、ここを削ると、読んだ人は意味が取れなくなります。同じ内容で2つ作るのは手間に見えますが、話す用は配る用から文字を抜くだけなので、実際には20枚で30分ほどです。PowerPointならスライドをコピーして本文を消し、消した文章をノート欄に移せば、そのまま手元原稿にもなります。
1枚で両方を兼ねようとすると、読まれもせず、聞かれもしない1枚になってしまいます。


1枚1メッセージに直す、4つの手順


ここからは話す用に直す前提で書き、来週の本番なら、次の順番で1枚2〜3分で終わります。
- その1枚で言いたいことを声に出して一文で言い、言えなければ、その1枚には2つ以上入っているので、まず分けます。
- 声に出して言えた一文を、そのまま見出しにします。「売上の推移」ではなく「下がったのは3月だけです」と書き、体言止めをやめると、それだけで1枚が1メッセージになります。
- 残りの文章からは、背景や経緯、注意書きのように、口で話せば済む部分を全部消して構いません。
- 消せなかったものが2つ以上残ったらスライドを分けますが、枚数が増えても、1枚あたりの時間が短くなるだけです。
この順番でいちばん効くのは2つめで、見出しを体言止めから文にするだけで、1枚に何を入れるかが自動的に決まります。「売上の推移」なら何を載せてもよくなりますが、「下がったのは3月だけです」なら、3月が分かるものしか要りません。
削れないときは、分ける
どうしても減らせない表やグラフがあるときは、同じ図を2枚に出して、見てほしいところだけ色を変えるやり方があります。1枚目は全体、2枚目は該当の行だけ濃い色にしてほかを薄くすれば、情報量はそのままで、見る場所が1つになります。
1枚でやってみる
実際に当てるとどうなるかを見るために、もとの1枚には次のように書いてあったとします。
見出し:当社の売上推移について
本文:2024年度は前年比で微増となりましたが、3月に一時的な落ち込みがありました。これは主要取引先の決算期変更によるもので、4月以降は回復しております。年間を通じて見ると、下期の伸びが上期を上回っており、とくに新規のお客さまからのご依頼が増えております。
まず声に出して一文で言ってみると、「落ちたのは3月だけで、理由もはっきりしています」になります。言えたので、この1枚は1メッセージで、それを見出しにすると次のようになります。
見出し:落ちたのは3月だけです
本文:(消す。口で言う)
図:月別の棒グラフ。3月だけ色を変える
決算期の変更も、下期の伸びも、新規のお客さまの話も、全部口から出せるので、スクリーンに無いほうが話を聞いてもらえます。下期の話をどうしても残したいなら、それは2枚目に回します。


それでも読みにくいときに見る3つ


1枚1メッセージにしたのに詰まって見えるなら、どれも本番前の10分で直せる次の3つを見てください。
- 行の長さは長いほど読みにくくなるので、1行25〜30字で折り返すと、同じ文字数でもかなり軽くなります。
- 余白は四辺の外側をいまより広くとってください。中身を減らさなくても、余白を足すだけで見やすくなります。
- 色の数は文字色・強調色・背景の3色までにして、4つを超えないようにしておくと、どこが大事かが分かりやすくなります。背景は白、文字は濃いグレーか紺、強調はロゴや名刺の色から1つ取ると決めやすく、強調の色は1枚に1か所だけ使います。決め方とCanvaでのそろえ方はスライドの配色は3色でに書きました。
後ろの席から見えるかを、必ず確かめる
画面で見て読めても、会場では読めないことがあります。確かめ方は簡単で、スライドを縮小表示にして、机から1メートル離れて見るだけです。ここで読めない文字は本番でも読まれず、読まれない文字はその場に無くてよい文字なので、消してください。
当社もセミナーで登壇していますが、直前に消した文字ほど、当日は口で言えるので困りません。


誰に向けて話すかが決まると、削る判断が速くなる


削れない原因のほとんどは、聞き手が一人に決まっていないことにあります。はじめて聞く人にも詳しい人にも届かせようとすると、両方ぶんの説明が要るからです。会場の中でいちばん届けたい一人を決めれば、その人が知っていることは全部消せます。この「誰に」の決め方はインスタのコンセプト例で型にしていますが、考え方はスライドでも同じです。1枚ずつ削る前に全体の並びから見直したいときは、聞き終えた人に持ち帰ってほしい1つを先に決め、まとめの1枚から逆に並べます。表紙と約束・聞き手の場面・本題・手を動かす時間・まとめの5つの区切りと、時間の割り振りはセミナーのスライド構成にまとめました。
当社が開催してきたセミナーの様子はセミナー一覧にまとめています。スライドそのものの制作はスライド/デザイン制作でお受けしていて、話の順番から一緒に整理していきます。
枚数・上司の注文・アニメーションで迷うこと
枚数が増えると、時間が足りなくなりませんか
時間は増えず、1枚あたりの滞在時間が短くなるだけです。文字の多い1枚を3分かけて説明していたものが、3枚を1分ずつになり、いま何枚目の話をしているかが伝わるぶん、聞き手はむしろ追いやすくなります。
上司や事務局から「情報を入れてほしい」と言われます
その場合に必要なのは、たいてい配る資料のほうです。話す用と配る用を分けて配る用に全部入れ、「投影は要点だけにして、詳細は配布資料に入れました」と一言添えると、たいてい通ります。
アニメーションで1つずつ出すのでは駄目ですか
1枚に3つ以上入っているものを順に出すと、読ませる量は減りますが、1枚に載っている話の数は変わりません。戻って見せたいときに操作が増え、配布用に書き出すと全部重なって出るので、枚数を分けるほうがあとが楽です。
3つとも、投影と配布を分けておけば起きにくくなります。先に分けるほど、あとが軽くなります。
来週の本番までに、まず見出しを文にする
文字が多いスライドは、文字を小さくしても見やすくならないので、先にその1枚が話すためのものか、配るためのものかを決めます。1枚で両方を兼ねると、読まれも聞かれもしない1枚になるからです。話す用に直すなら、言いたいことを声に出して一文で言い、それを見出しにして、口で言う部分を消し、2つ以上残ったら分ける。この4つで、来週の本番には間に合います。
本番までに、一度見せていただけますか
いまのスライドをそのまま送っていただければ、どこを話す用にして、どこを配る用に残すかを分けてお返しします。無料相談では、いちばん重い1枚をその場で直してお持ち帰りいただけます。無理な営業はいたしません。
50分・オンライン。費用はかかりません。



